学生のうちにAIを身につけよう! 生成AI識者に聞くメリットと使い方

いまや毎日のニュースで見ない日はないほど身近な言葉になった「生成AI」。けれど、実際にこの生成AIが自分たちの生活にどれほど役立つものなのか、具体的にイメージするのは難しいのではないでしょうか。

そこで本記事では、AIに精通した小澤健祐(おざけん)さんへのインタビューを通じて、AIの現況から学生のうちに身に着けておくべき使い方やメリットをご紹介します。

小澤健祐さん
「人間とAIが共存する社会をつくる」がビジョン。日本初のAI専門メディア AINOW編集長を務め、1000本以上のAI関連記事を執筆。著書は「生成AI導入の教科書」。その他AI領域で幅広く活動し、AIに関するトークセッションのモデレーターや登壇、講演、メディア出演も多数。

生成AIってなに?

そもそも、最近になって一気に名前を見かけるようになった生成AIとはいったい何なのか? AIを活用したサービスをイメージすると「単なる検索ツールの進化版」と勘違いしがちですが、生成AIはそうではありません。

小澤さん

「従来のAIは、画像を認識したり音声を聞き取ったりと特定の仕事に特化していました。それに対して、生成AIは『基盤モデル』という一つの大きな頭脳を持っているので、画像・テキスト・動画・音声といった様々なコンテンツを生成できます。

例えばレポートを書くときに使えば、単に情報をまとめるだけではなく「こういったテーマや考え方はどうですか」と新しい視点を提案してくれたり、プログラミングの初心者が基本的な指示を与えるだけで簡単なプログラムを作れたりもします。つまり、生成AIは入力した情報をもとに新しい出力を作り出すもので、私たちの創造力を大幅に拡張してくれる可能性を秘めているのです」

実際に生成AIを利用したツールとしては、チャット形式の文章生成ツール「ChatGPT」やビジュアルアートを生成できる「MidJourney」、ポッドキャストやYouTube動画の編集に利用される「Descript」など様々なものが登場。翻訳精度の高さで人気の「DeepL」も生成AIを使っています。

またGoogleで検索をすると「AIによる概要」が表示されることがありますが、これは生成AIによるもの。他にもメルカリでは出品や商品検索のサポートをする「メルカリAIアシスト機能」を開発したりと、どんどん生成AIの活用事例は広がっています。

Google検索やYahoo!ニュースなど、様々なサービスで生成AIの導入がスタートしています

学生生活における生成AI活用術

では、この生成AIという技術を大学生活ではどのように活用できるでしょうか。早速、その上手な使い方を聞いてみましょう。

小澤さん

「生成AIは、みんなの頭脳を拡張してくれる相棒だと思ってください。例えば、レポートを書く時はこんな風に使うといいですよ。

1. まず自分のアイデアをどんどん出してみる
2. 生成AIとおしゃべりしながら、アイデアを絞り込んでいく
3. 抽象的な考えと具体的な例を行ったり来たりしながら、生成AIの助けを借りて最終的な文章を作る

こうすればただの要約じゃなく、もっと深い考察や面白いアイデアが生まれるんです」

ここでは文章を書くだけでなく、プログラミングのサポートや創造的なアイデア出しまで幅広いタスクをこなすことができる「ChatGPT」を例にしてみましょう。

環境問題に関するレポートを課題に出されたとしましょう。もしChatGPTに「環境問題に関するレポートを書いて」と指示を出したら、関連情報をまとめた一見それらしいレポートが出力されます。

しかし、これではいかにもAIが書いた文章であり、深堀りもされていません。しかも同じように指示を出せば類似の文章が出力されるため、自分で考えていないことが見抜かれるでしょう。これでは到底、生成AIを使いこなしているとは言えません。

例えば「2020年から急速に悪化している環境問題は?」と問いかけると、「気候変動の加速」「プラスチック汚染の拡大」「生物多様性の喪失」の3つが挙げられました。ここから「プラスチック汚染の拡大」にテーマを絞り、「プラスチック汚染の拡大の原因や解決方法を深堀りしたいけど、どのようにレポートをまとめたらいい?」のように聞くことで、レポートの構成案が出力されます。

このように「会話のリレーを繰り返して、自分では思いつかなかった考えにたどり着く」ような使い方が生成AIの有意義な活用方法の1つです。こうすることで、「テストの解答欄を埋めて100点を取る」のではなく「新しいアイデアや作品を生み出して200点を取る」ような、生成AIの真の価値を発揮できます。

小澤さん

「難しい論文を読む時に生成AIを使うのも効果的です。最初に論文の要約を生成AIに作ってもらい、その内容を踏まえた上で実際の論文を読むと、理解が深まります。また、プレゼンテーションの準備をする際もアイデアの整理や資料作成のサポートとして生成AIを活用できます。

授業で学んだ内容を生成AIに説明させ、その説明と自分の理解を比較することで理解が不十分な部分を明確にすることもできます。これは効率的な学習方法の一つになる可能性がありますね」

まさに使い方次第で、生成AIは学生生活のあらゆる場面をサポートしてくれます。生成AIは使えば使うほど上手な使い方が身についていくもの。「なんだか難しそう」と“触らず嫌い”せずに、積極的に生成AIと付き合ってみましょう。

最新のAIを活用できるパソコンについて

さて、生成AIを活用するにあたって、パソコンにはどの程度のスペックが求められるのでしょうか。


小澤さん

「最低でも16GBのメモリ(RAM)は欲しいですね。パソコンの処理速度は本当に大事なんです。いいパソコンを使うことで作業の質も上がりますし、やる気も出ますよ。

生成AIの多くはクラウド上で動作しているため、ローカルの処理能力はそれほど重要ではないと思われがちです。しかし、実際にはAIとのやり取りやAIが生成した大量の情報を処理する際に、十分な性能が必要になります。特に複数のアプリケーションを同時に動かしたり、大量のブラウザタブを開いたりする場合は、高いスペックが作業効率の向上につながります」

技術が急速に進歩していくなかで、数年後にはもっと高いスペックが必要になってくるかもしれません。可能であればある程度スペックに余裕を持ったパソコン選びがオススメです。

今後はAI処理に特化した機能であるNPUが組み込まれた最新のパソコンとして、「AI PC」や「Copilot+ PC」がその数を増やしていくでしょう。

CopilotはWindowsに搭載されているAIアシスタント機能で、MicrosoftがOpenAIの生成AIモデル「GPT-4」を用いて開発しました。チャット形式でCopilotに指示を出すことで、文章や画像を生成したりパソコンの設定を変更したりすることができます。また有料版のCopilot Proでは、無料版よりスピーディに回答が得られたり、Microsoft 365アプリと高度に連携して使用することなどが可能です。

「Copilot+PC」や「AI PC」は、CopilotなどのAl機能をクラウド側ではなくPC側の処理でより速く便利に使いこなせるよう、メーカーやMicrosoftが設定した高いAl処理能力を有したパソコンです。

FMVのパソコンは、Copilotの利用が可能なだけでなく独自のAlアプリが搭載されています。周囲の騒音をカットすることで円滑なオンラインコミュニケーションを可能にする「AIノイズキャンセリング」や、パソコンの画面を自動でキャプチャ保存してくれる「Quick Capture」といった、オンライン授業等の学生生活にも役立つAIアプリを利用できます。

特にオンラインでのカメラ写りを自分好みに設定できるAIメイクアップアプリ「Umore(ユーモア)」は、活躍の機会が多いと思います。明るさや背景をぼかすといった調整だけでなく、美肌や歯を白くする、鼻を小さくするといった細かな加工を、AI処理によって高精度に実現できます。保存したメイクパターンはどの会議アプリでも使用できるため、いつでもコンディションの良い状態でカメラに写ることができますよ。

AIメイクアップアプリ「Umore(ユーモア)」の使用イメージ。左画像が機能オフ、右画像が機能オンの状態で、細かく設定したメイク効果がワンボタンで反映されます。

またFMVパソコンを会話で操作できる「いつもアシスト ふくまろ」も便利です。パソコンのマイクを使ってふくまろに話しかけることで、天気やWebの検索、音楽や動画コンテンツの再生などが行えます。別売のリモコンをパソコンに繋げば音声操作で家電のオン/オフができるほか、スマートフォンを使って家の様子を確認したり、家電を操作することができます。ふくまろはChatGPTを活用しており、毎日話しかけることでよりパーソナライズした自然な会話が楽しめるのも魅力です。

FMVのパソコンで生成AIを使いこなそう

FMVではここまで紹介してきたような生成AIツールの能力を引き出せて、サクサクとした動作でストレスなく使えるパソコンをラインナップしています。

●UHシリーズ

UH-X/J3
UH90/J3

UHシリーズは高性能と優れたモバイル性能を両立させたノートパソコンです。どのモデルも16GB以上のメモリ容量で、問題なく生成AIツールを活用できるでしょう。シリーズ内のロングバッテリモデルとなるUH90/J3は、14.0型ワイドの見やすいディスプレイサイズながら、約848g〜という軽量化を実現。さらにワンタッチでCopilotを起動できるCopilot キーを搭載しています。持ち運びに重要なポイントであるバッテリはアイドル時で約30時間(※1※2) のため、様々な場所に持ち運べる心強いパートナーになるでしょう。

※1:一般社団法人電子情報技術産業協会のJEITAバッテリ動作時間測定法〔Ver.3.0〕による
※2:動画再生時 約11.5時間・アイドル時 約30時間

●MHシリーズ

MH55/J3

性能とサイズのバランスが取れたMHシリーズは、ファインシルバーとベージュゴールドのカラー展開も魅力的。打ちやすさにもこだわったキーボードはかな無し仕様で、パソコンを閉じた状態でも開いた状態でもオシャレなデザインになっています。シリーズのなかでも最新Officeソフトを搭載したMH55/J3は、Copilot キーも備えており、すぐに生成AIを活用できます。

生成AIとの正しい向き合い方

生成AIが当たり前の社会になってきたら、私たちの未来はどのように変わっていくのでしょうか。おざけんさんは、生成AIによって仕事の世界が大きく変わると予想しています。

小澤さん

「生成AIの発展により、定型的な作業や単純な情報処理はほぼ全てAIに取って代わられる可能性があります。しかしこれは仕事が無くなるということではなく、人間の役割が変化するということなんです。今後は生成AIをうまく使いこなせる人の価値がどんどん上がっていくでしょうね」

例えばブログなどで文章を書いたことのある人が、ライターを目指しているとします。従来は文章を完成させる際に誤字や脱字をチェックする「校正」の作業があります。そういった単純ですが地味に時間がかかる作業こそAIに任せ、自身はより時間をかけて練るべき内容に労力をかけるべきでしょう。記事作成においてだけでなく、仕事でも趣味でも似たようなシーンは数多くあるはずです。同じようにAlに任せられる部分は任せ、自身で感じたり考えたりする必要があることに注力するといった「Alとの協同作業」が一般的になっていくことが想定されます。

このように、生成AIは社会のあり方に影響を与えるツールです。だからこそ、正しい使い方を意識しないといけません。

生成AIを活用していく上で今後はプライバシーや権利の問題に配慮する必要が出たり、これまでにない新たな課題も生じるでしょう。生成AIの回答は膨大な情報を基にしていますが、時には間違ったり偏った内容を出力することも。生成AIの可能性は大きいですが、同時に生成AIを過信せず自分で考える姿勢も重要になります。

こうした生成AIとの付き合い方について、おざけんさんは「カルピスの原液になれ!」と表現しています。

小澤さん

「自分の中にしっかりとした軸(原液)があれば、生成AI(水)を加えることでもっとおいしいカルピス(アウトプット)が作れるんです。つまり、自分自身の知識や思考力、創造力をしっかり磨いた上で、それを生成AIで拡張することで、より素晴らしい成果を生み出せるということです。
生成AIという新しい相棒と一緒に、皆さんの大学生活がより充実したものになることを願っています。好奇心を持ち、失敗を恐れず、新しい可能性に挑戦し続けてください。そうすることで、AIと共存する未来社会で活躍できる力が自然と身についていくはずです」